プロジェクトストーリー

PROJECT
STORY

プロジェクトストーリー

01

複合型処理施設
「E・フォレスト岡山」
開設ストーリー

プロジェクト概要

廃棄物の中間処理・焼却・最終処分を一体で担う、国内でも珍しい複合型処理施設「E・フォレスト岡山」。その誕生は、ゴルフ場の開発予定とされていた広大な土地との偶然の出会いから始まりました。西日本アチューマットクリーンが描いたのは、“処理するだけでは終わらない”循環の拠点。汚染水を一切出さずに再利用する独自のシステムや、地域への貢献を組み込んだ運用など、環境と社会の両面から未来のモデルを提示する挑戦が、今も続いています。

CHAPTER 01

きっかけは、ゴルフ場の建設予定となっていた
広大な土地から

岡山市内から吉備高原へと続く道路沿いに広がる緑豊かな一画。そこにかつて、ゴルフ場が建設されるはずだった場所がある。計画が頓挫し、使われないまま残されていたその土地が、西日本アチューマットクリーンの目に留まったのは平成12年。廃棄物処理の総合的な受け皿となる施設づくりに取り組む上で、同社は“次世代型”の処分場を模索していた。

ちょうどその頃、同社が保有していた既存の処分場は受入の限界を迎えつつあり、次代の環境ニーズに応えるには、より高度で持続可能なシステムが必要だった。そんな中で注目したのが、福島県にある先進的な複合型処理施設。中間処理、最終処分、そして焼却までを一体で担い、資源循環を支えるモデルとして運用されていた施設の思想と構造が、同社の構想に火をつけた。

「焼却施設」「中間処理施設」「最終処分場」など、通常は別々に設置されるものを一体化させることで、運搬コストや時間を削減し、環境負荷も抑制する。しかも、それを郊外の広大な土地に構えることで、将来的な拡張にも対応可能。こうしてE・フォレスト岡山の構想は、かつての未利用地に“社会的使命”を宿す形で動き出したのだった。

CHAPTER 02

汚染水を出さない、
環境に配慮したの“循環”モデル

「処理する」だけではない。E・フォレスト岡山の最大の特長は、廃棄物処理によって発生する“水”の再利用にある。

従来、廃棄物を埋立た最終処分場から出て来る浸出水は水処理をしたうえで河川に放流されることが一般的だが、浸出水を浄化し、焼却処理時の冷却水として活用することで水蒸気となり大気中に放出河川には一切放流しないという循環型システムを確立している。

これにより、環境に対する水質負荷をほぼゼロに近づけることに成功。実際にE・フォレストからは汚染水を河川に流していない。この仕組みは、ダイオキシンの再合成を防ぐために必要な「急冷」にも応用され、焼却プロセス全体の安全性と効率も高めている。

さらに、焼却時に発生する熱エネルギーは温室に送られ、施設内で栽培するイチゴやライチなどの果物栽培に活用されている。温室は地域住民の方々へにも開放しており、「見える循環」としての価値も高い。廃棄物を処理して終わりではなく、エネルギーとして再利用し、地域に貢献する。そんな先進的な思想が、E・フォレスト岡山には息づいている。

CHAPTER 03

未来を耕す、170万㎡の余白

広大な敷地——その言葉がしっくりくるほど、E・フォレスト岡山のフィールドは広い。総面積およそ180万㎡。現在稼働しているのはそのうちのわずか10万㎡に過ぎず、残る170万㎡がまだ手つかずのまま未来を待っている。

この広さは、単なるスケールの話ではない。地域との信頼関係を築いてきた今、この土地は「次の挑戦」を可能にする土壌なのだ。実際、新施設の建設もすでに計画されており、より高度なリサイクル技術の導入が見込まれている。さらには、地域住民や学生向けの環境教育施設としての活用、資源循環の研究・開発拠点としての展開も視野に入れているという。

かつて「迷惑施設」と呼ばれがちだった産業廃棄物処理場。そのイメージを塗り替え、地域と共に育つ“環境モデル”の核となる。E・フォレスト岡山は、「循環経済」という国策の最前線に立ち、静かに、しかし着実に未来を耕している。